コ・アドリアーンセとアヤックスユース

The Coaching Philosophies of Louis Van Gaal and the Ajax Coaches

「継続性こそ育成組織では重要だ」

コ・アドリアーンセはこのように述べる
「これはファンハールの助言を得てクラブの会議で到達した結論だ」
最近まで18歳以下のコーチがトップチームの監督になることが珍しくなかったが(デモス、ファンハール、ベーンハッカーなど)
この結果、育成にギャップがでてしまうことになる
しかし、もうこれらは過去のものだ
私は育成ディレクターとして長期計画を練る必要がある。

92年春にアヤックスからオファーを受けた際、決断にあまり時間をかける必要はなかった。
アヤックスの生命線である育成組織に参加できることはアムス生まれの自分にとって望外のチャレンジであったし
アヤックスでうまくやっていく確信があったからだ。

Communications

就任してからアドリアーンセは徐々に自分のカラーを打ち出していった。

「内部の意思疎通をを図ることから始めました。育成組織には数多くの人間が関わっていますが、
情報を共有すること、同じ方向を見据えることが大事だからです。」

アドリアーンセは机から計画書を引っぱりだし、指摘する
「毎週、定例会儀があります、ファンハールなどのトップチームの責任者や財務、営業責任者と話し合いを持ちます。
チーフスカウトのTon Pronkの意見は特に尊重します。
彼はクラブが正しい方向に進むための赤色灯のようなもので、あらゆるカテゴリーのスカウトを担当し、コーチの代役も可能で
セレクションにおいても多大な貢献をしています。

ユース選手の両親とのコミュニケーションも重要です。
アヤックスでプレーする選手は、まだ多くのことを学ばなければならないのに、周囲でちやほやされることがあります。
両親は子供に何が起こっているかを正しく知らなければなりません。そして同じ話しでも違った語り口で子供に話をします。
子供は自分にとって心地よい話は耳を傾けますが、選手としての成長にとって重要なのは耳の痛い話のほうです。

アドリアーンセが初年度にやったことは選手に関して1年に2度、4月と12月にレポートを作成し、選手と両親を交えて
話し合いをもつことです。
テーマはいくつかのカテゴリーに区分されたサッカーに関する以下の要素です。

・ボールコントロール、パス、仕掛け、シュート、動作のスピード、攻撃におけるヘディング、得点能力、クロス、パススピード

・1on1の強さ、守備、守備のヘディング、スライディングタックル、タックル、ボールへのアタック

・コンビネーションの技術もしくは与えられた役割のなかでのポジショナルプレイ

・運動能力 マークを振り切る速さ
0〜10、10〜30、30〜ヤードのそれぞれのスピード
運動量、タックルの強さ、スタミナ、走る技術、跳躍能力

・カリスマ リーダーシップ 試合におけるメンタル、チームメイト、コーチへの態度
コーチングに対する理解能力、プレッシャーに負けない強さ

・その他の情報
謙虚さ、生意気か、創造的か、チームメイトとの連携、特徴ある選手か、スキルフルな選手か、右利きか、左利きか
両足を使えるかどうかなど…

1年に2度コーチは1〜9段階にわけて評価をつけます。
10は意図的に使いません。我々のノウハウに適応するのはそう簡単なことじゃないからです。

Analysis

アドリアーンセは次の段階としてアヤックスの強みと弱味の分析に取りかかる。

アヤックスでは多くの事が直感に基づいてなされてきた。
これはトップレベルの若手を輩出するなどアヤックスの典型的なクラブカルチャーをもたらしてきた。
ここ数年では70名を下らない選手がオランダや海外でプロになっており、そのなかから億万長者になるものもいる。
このカルチャーを将来に渡って注意深く維持しながらも、財力のある競争相手が現れた時には、我々はより前に前進しなければならない。
我々の強みについては注意深く考えることはもちろん、いまだ重要な要素である弱味についても取り組まなければならない。
我々の目標は2シーズンごとにユースからトップへ才能ある若手を数名送りだすこと。
このポリシーが10年間維持できれば、安泰だろう。

分析すれば我々には弱味より強みのほうが優っていることがわかる。

TIPSで現されるアヤックスユースの選手の強みはオランダ中で一般化するようになった。

    T テクニック ジュニア世代はボールコントロールをマスターしなければならない
    I インテリジェンス インサイト 観察能力や考える力は相手の予測できない特徴的なプレーをもたらす
    P パーソナリティ アヤックスのタレントはリーダーシップを発揮しながら周囲とコミュニケーションしなkればならない
    S スピード アヤックスの選手においては必須の要素である マークを外す速さ モビリティ 長い距離を走るスピード

アヤックスのスカウトは選手を見る際、I,P,Sを重視する。これらの要素は状況に左右されないからだ。
テクニックは常に進化しうる。
ジュニアのスカウトの選考基準は基本的なスピードが備わったうえでテクニック、賢さ、性格などを見る。

アヤックスの選手の欠点を探そうとすれば、メンタル、フィジカルにおいてスタミナに欠けている点をあげることができよう。どの学年でも常に勝ててしまうので相手を見下しているが、時には闘争心が欠けている。

就任した初年度の、私の考えを定式化するならば

現在そして将来に渡ってアヤックスジュニアはボールスキル、創造性、スピード、サッカーの洞察力、そしてパーソナリティの要素でセレクトされなければならない。ただ若い選手はメンタルタフネスや身体的強さを欠く。彼等はこれらについて学ばねばならない。

Points of Departure

分析を終えたアドリアーンセは、育成プランを練りはじめる。

「もともとアヤックスのプレー哲学は、私が来る前からあった。選手はエンターテイメントを提供しなければいけない。アーティストであり、サッカー以外の娯楽と競争しなければならないんだ。そして常に勝とうとしなければならない。
それは相手サイドでプレーし、ゴールチャンスを数多く作り、ボールを失えば即座にフォアチェックにいくこと。同時に343システムにも習熟してなければならない。
これらがアヤックススタイルの出発点である。
これらの目的を達成するには、選手は複数のポジションをこなす必要がある。
左ウィングは左ハーフや左のバックもこなさなければならない。

アヤックスユースでは各チーム16名からなる。まずGKがふたり。
右利きが4人で2(右バック)、6(右ハーフ)、7番(右ウィング)に配置される
左利きが4人で同じように5、8、11に配置され、
3番(3バック中央)、4番(中盤の底)に3人。9、10には3人。
この構成は10歳以下のチームからトップチームまで共通している。
このため選手は成長に合わせて複数のポジションをこなせるようになるんだ。」

Systems

アドリアーンセのアイデアの斬新なところは、433以外のシステムを若い選手に学ばせたところである。

「16歳以上のチームには、二つ以上のシステムに習熟することを望みます(442や4321)
これは大事なことと考えます。なぜならチームメイトや相手との新たな位置関係に取り組み、解決策を
探らなければならないからです」

The Coaching Philosophies of Louis Van Gaal and the Ajax Coaches

Discipline

アドリアーンセはファンハールと同様のディシプリンを強調する。アヤックスに入りたての幼い選手に対しても。

「プレー哲学に加え、規律にも気を配ります。我々の社会は常に変化し、個人がますます重要になっていきます。
価値基準は揺れ動いていき、「達成」がネガティブな言葉として長い間捉えられてきました。
これはスポーツの世界にも影響しています。。我々の社会では隣人がなにをやっているか関心を払いません。
しかし、スポーツの世界では不変です。チームにおいてはチームメイトが必要なのです。
そのため集団における振るまいがとても重要になり、他人への配慮を学ばなければならないのです。
ピッチの外でこれができなければ、ピッチで問題を起こすでしょう。
このため初年度には、あらゆる選手が遵守すべき多くのルールをコーチに言い渡しました。
時間を守ること、食堂やロッカールームに入る時には帽子を脱ぐこと、ピアスをしないこと、シンガードを必ずつけること等など。

ディシプリンは必ずしも厳格なものである必要はありませんが、全てのレベルの選手に平等に適用されなければなりません
もし選手が汚いファウルを犯したのを審判が見逃した場合、1人のこーちがそれを見ていなくてももう一人のコーチはその選手を下げなければいけません。食事における振るまいもすべて同様です。」

Development plan

2年目にあたりアドリアーンセは育成プランにおけるテクニックに関する細部を定式化していった。

「全ての育成スタッフと話し合って作り上げたから、大仕事だったよ。
もともと8〜12歳のグループに必要な要素から始めて、12〜14、14〜16、16〜20歳のグループに及んだ。」

アドリアーンセはアヤックスにおいて12歳で求められるな要素を作り上げたが、育成の初期段階で求められる
能力は何か?

「8つの異なった領域を観察します。テクニック、戦術、ノウハウ、ランニング、強化トレーニング、人格形成、コーチングの状況

トレーニングと試合。
8〜12歳までではテクニックがもっとも重要です。両足のいろんな箇所でボールをコントロールできなければなりません。
これが全てです。
育成コーチは工夫してこれらの原理を練習メニューに取りいれなければんりません。
私が全てのメニューを作ることはしません。コーチの領域を制限することになるからです。
私はいくつかのトレーニングドリルを作り上げるかもしれませんが、コーチもドリルを作り上げる必要があります。
例えばクーバードリルがありますが、コーチは全員このビデオを持っているのでこの中から選んだりします。
もちろん最終的なチェックは私がしますが、ひとつひとつのメニューを私が作り上げることはやりません。

In practice

育成理論は重要だが、理論は理論でしか過ぎない。
これをいかにして練習で機能させるか?
アヤックスは七歳児のタレントを発掘し、どこまで伸びるか予測する能力を重要視しています。これは重要であると同時に、難しいものですが。

身長は骨をX線で検査すれば将来的な伸びがわかります。身長はGKやディフェンダーにとっては重要なものです。

8歳〜10歳のグループにおいてはスカウティングがもっとも重要です。
16人からなる新チームを毎年用意しなければなりません。アヤックスは基本的な資質を見た上でスカウトします

スカウトにとって本物のタレントを幼い時期から見分けるのは難しい仕事です。
サッカーをやりはじめてまもない子もいるからです。
8歳〜10歳のグループになるとアヤックスは才能ある子供の記録を残します。
2週間のテスト期間で基本的な6つのチェックを受け、コーディネーションコーチのJamborに意見を求めます。

8歳〜10歳の子供のもう一つの問題は精神年齢がバラバラなことです。
本当に幼児のままのものもおり、集中力がないので、練習に身が入りません。
アヤックスに入りたいならば、コーチの意見を聞く耳と指示を理解することが必要です。

子供の環境も考慮されます。両親のサポート、どのような服装か、振る舞いは?時間を守れるか?

最初のセレクションで目を引くものがあれば、その後のテストはやめて上の学年でやらせます。
これがアヤックスの哲学です。

厳しいセレクションをくぐり抜けアヤックスのシャツを身にまとうことが許された七歳の選手は
基本的スキルを身につけることに専心します。

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